【公開中】 旧耐震×老朽化S造ビルを高収益レンタルオフィスへ再生した事例
耐震コラム

マンションは建て替えで売却すべき?決議前・決議後のタイミングと注意点

マンションの建て替えが検討され始めたとき、多くの所有者が直面するのが「建て替えに参加すべきか、それとも売却すべきか」という選択です。 建て替え費用の負担は、簡単に決断できる金額ではありません。 さらに悩ましいのが、「いつ売却すべきか」というタイミングの問題です。 建て替え決議の前と後では、売却の条件や手続きが大きく異なります。

本記事では、マンション建て替え時の売却について、決議前後のタイミングによる違い、売却を選ぶべき人の判断基準、買主への告知義務などの注意点を詳しく解説します。

マンション建て替え時の売却タイミング:いつ売るべきか

マンションの建て替えが検討され始めたとき、所有者が最も悩むのが「いつ売却すべきか」というタイミングの問題です。 建て替え決議の前と後では、売却の条件や手続きが大きく異なります。 ここでは、それぞれのタイミングにおける売却の特徴と、判断のポイントを解説します。

建て替え決議「前」に売却する場合

建て替えの話し合いが始まった段階で売却を決断する場合、比較的スムーズに手続きを進められる可能性があります。 この段階では、まだ建て替えが正式に決定していないため、買主にとっても「建て替えに参加するか、別の選択をするか」を自由に判断できる状態です。

決議前に売却するメリットは、建て替えに伴う将来的な負担や不確実性を早い段階で切り離せる点にあります。 建て替えに参加する場合、負担金や仮住まいなどの対応が発生し得るため、そうした負担を避けたい所有者にとって、決議前の売却は有力な選択肢となります。

ただし、建て替えの検討が進んでいるマンションは築年数が古く、老朽化が進んでいるケースが大半です。 そのため、一般的な中古マンションとは前提条件が異なり、査定や買い手の判断に影響が出ることがあります。 不動産会社に査定を依頼する際は、建て替え検討中であることを必ず伝え、その状況を踏まえた適正な査定を受けることが重要です。

建て替え決議「後」に売却する場合|売渡請求権と2ヶ月の期限

建て替え決議が成立した後は、区分所有法に基づく「売渡請求権」という制度が関係してきます。 建て替え決議には、区分所有者数および議決権の各5分の4以上の賛成が必要ですが、決議に反対した所有者や、決議に参加しなかった所有者に対して、建替え決議に賛成した区分所有者等や、必要に応じて買受指定者から、時価で売り渡すよう請求(売渡請求)され得ます。

決議後は、建替え決議に賛成した区分所有者等(必要に応じて買受指定者)から、反対者等に対して参加するかどうかを催告し、催告から2か月が経過した場合に、時価での売渡請求を行使できる流れになります。

売渡請求による売却では、売却価格は「時価」で算定されます。 ただし、時価の評価方法については請求する側(建替え決議に賛成した区分所有者等)と所有者の間で協議が必要となり、合意に至らない場合は裁判所に価格の査定を申し立てることも可能です。

決議後の売却では、買主が区分所有者として建て替え手続きや今後の負担に関わる可能性があるため、決議前に比べて慎重に検討されやすく、買主探しの難易度が上がることがあります。 そのため、建て替えに参加する意思がない場合は、決議前の早い段階で売却活動を始めることが推奨されます。

マンション建て替えの基本的な流れと要件

マンションの建て替えは、検討段階から工事完了まで数年単位の時間を要する大規模なプロジェクトです。 売却のタイミングを判断するためには、建て替えがどのような流れで進むのか、またどのような要件が必要なのかを理解しておく必要があります。

建て替え決議に必要な5分の4以上の賛成

マンションの建て替えを実施するには、区分所有法によって厳格な要件が定められています。 具体的には、区分所有者の5分の4以上、かつ議決権の5分の4以上の賛成が必要です。 議決権は、規約に特別な定めがない限り、専有部分の床面積の割合によって決まります。

※2026年4月1日施行の改正では、マンションの更新・再生(例:一括売却・取壊し等・大規模改修など)に関する決議類型が整備され、一定の要件下で決議要件が緩和(例:5分の4→4分の3等となる場面)が整理されています。 一方で、従来の「建物の建替え(建替え決議)」は原則として5分の4が前提です。
詳しくは「【マンション】区分所有法改正を活かす!建て替え回避と資産価値を復活させるリノベ戦略」をご覧ください。

この5分の4という基準は非常に高いハードルです。 国土交通省のデータによると、2022年4月時点で建て替えが完了したマンションは全国で累計270件・約22,200戸にとどまっています。

建て替え決議が成立するまでには、管理組合内での勉強会、建て替え検討委員会の設立、専門家による調査、住民への説明会など、合意形成のためのプロセスを経る必要があります。 そのため、建て替えの話が出てから実際に決議が成立するまでには、通常1年から数年の期間がかかります。

決議から工事完了までの期間

建て替え決議が成立した後も、実際に工事が完了するまでにはさらに時間を要します。決議後の主な流れは以下の通りです。

  • 組合の設立:まず、建て替え組合が設立され、反対者への売渡請求や権利変換計画の策定が行われます。
  • 解体工事:既存建物の解体工事に入り、解体には規模にもよりますが3ヶ月から6ヶ月程度かかります。
  • 新築工事:新しい建物の建築工事期間は、マンションの階数や規模によって異なりますが、一般的には1年から2年程度が目安です。

建て替え決議から住民が再入居できるまでには、最短でも2年、長い場合は3年以上かかることもあります。

この期間中、建て替えに参加する所有者は仮住まいでの生活を余儀なくされます。 仮住まいの手配や転居、建て替えに伴う負担が継続して発生し得るため、生活面・実務面の負担も含めて検討が必要です。 長期間の負担に耐えられるかどうかも、売却を判断する重要な要素となります。

2026年4月1日施行の改正では、所在等不明の区分所有者を裁判所手続で決議の母数から除外できる制度など、合意形成を進めやすくする仕組みも整備されています。

建て替え時に売却を選ぶべきか判断する基準

建て替えに参加するか、売却を選択するかは、所有者の状況によって最適な選択が異なります。 ここでは、判断する際の具体的な基準を示します。

年齢・資金・ライフプランから考える

建て替えに参加するか売却するかの判断では、まず自身の年齢を考慮する必要があります。 建て替え後のマンションに長期間住み続ける予定がある場合は、建て替えに参加するメリットがあります。 一方、高齢で今後の居住期間が限られている場合や、子どもへの相続も予定していない場合は、多額の費用を投じて建て替えに参加する必要性は低いといえます。

資金面では、建て替え費用を無理なく負担できるかが重要な判断基準です。 仮住まい期間中の家賃や引越し費用も発生します。 住宅ローンが残っている場合は、ローンの返済と仮住まいの家賃を同時に支払う必要があり、二重の負担となります。

また、ライフプランの観点から、現在の住まいが自分や家族のニーズに合っているかも検討すべきです。 子どもの独立によって部屋数が不要になった場合や、バリアフリーが必要になった場合など、住まいに求める条件が変わっているなら、建て替えではなく売却して適切な住まいに移る方が合理的な選択となります。

建て替え後の再入居を選ぶ場合の注意点

建て替えに参加して再入居を選択する場合は、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

まず、建て替え後の住戸が現在と同じ広さや階数になるとは限りません。 容積率の制限や建築計画によっては、専有面積が減少する可能性もあります。 権利変換計画で自分に割り当てられる住戸の条件を事前に確認し、納得できる内容かを慎重に検討しましょう。

また、建て替え後のマンションでは、管理費や修繕積立金が建て替え前と比べて変動する可能性があります。 新しい設備が導入されることで管理費が上がるケースもあれば、適切な長期修繕計画によって修繕積立金が見直されることもあります。

さらに、建て替え期間中の仮住まい探しも重要な課題です。 短期契約を受け入れてくれる賃貸物件は限られており、特に子どもの学校区を変えたくない場合は、選択肢がさらに狭まります。 仮住まい先の確保が難しい場合、建て替え計画自体が円滑に進まないリスクもあります。

建て替え対象マンションの売却で注意すべきこと

建て替えが検討または決定されているマンションを売却する際には、通常の中古マンション売却とは異なる注意点があります。 ここでは、売却時に特に気をつけるべきポイントを解説します。

買主への告知義務と重要事項説明

建て替えの検討が進んでいる、または建て替え決議が成立しているマンションを売却する場合、仲介が入る場合、宅建業者には重要事項説明などの説明義務があります。 売主としても、建て替えの検討状況や決議の有無など、買主判断に影響する情報を不動産会社へ正確に共有し、適切に説明するようにすることが重要です。

  • 建て替え決議の有無
  • 決議が成立している場合はその日付
  • 建て替えに必要な費用の見込額
  • 建て替えのスケジュール
  • 売渡請求を受けているかどうか

これらの情報を適切に開示しないと、説明義務違反等を問われ、契約トラブル(解除・損害賠償等)に発展する可能性があります。 不動産会社に売却を依頼する際は、建て替えに関する全ての情報を正確に伝え、適切な重要事項説明書を作成してもらうことが重要です。

また、買主が区分所有者となることで、建て替え手続きや負担に関与する可能性があるため、その点を十分に理解してもらう必要があります。 買主が建て替え費用を準備できるか、建て替え後のマンションに魅力を感じているかなど、購入後のトラブルを避けるためにも丁寧なコミュニケーションが求められます。

建て替え案件に強い不動産会社の選び方

建て替え対象のマンション売却では、通常の中古マンションとは異なる専門知識が必要となるため、不動産会社選びが特に重要です。

まず、建て替え案件の取扱実績がある不動産会社を選ぶことをお勧めします。 建て替えに関する法律知識、売渡請求権の仕組み、買主への説明方法など、専門的なノウハウを持っている会社であれば、スムーズな売却が期待できます。

査定を依頼する際は、建て替えの状況(検討段階か決議済みか)を明確に伝え、その条件を踏まえた適正な査定価格を提示してもらいましょう。 建て替え情報を考慮せずに高額な査定を出す会社は、実際には売却が困難になる可能性があります。

また、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格だけでなく、売却戦略や建て替え案件への理解度を比較することが重要です。 一括査定サービスを活用すれば、効率的に複数社の提案を比較できます。 担当者が建て替えに関する質問に的な答えられるか、類似案件の売却実績があるかなども、会社選びの重要な判断材料となります。

まとめ|第三の選択肢「不動産再生」

建て替えと売却、それぞれにメリットとデメリットがありますが、近年では第三の選択肢として「不動産再生」という手法が注目されています。

建て替えでも売却でもない第三の選択肢「リボビル」

不動産再生とは、建て替えのような大規模な工事を行わず、既存の建物を活かしながら資産価値を高める手法です。 既存建物を活かしながら、改修や設備更新などにより機能性・快適性の向上を目指します。

さくら構造の「リボビル」は、耐震診断・補強設計から改修・再生の検討まで、ワンストップで相談できます。 建て替えか売却かで悩んでいる方、あるいは管理組合として建て替えの合意形成が難しいと感じている方は、不動産再生という選択肢も検討する価値があります。 老朽化したマンションの資産価値を守り、住み続けられる環境を整えるために、まずは専門家に相談してみましょう。

>耐震診断実績1000件以上!さくら構造の「リボビル」についてはこちら

>無料相談・お問い合わせはこちら

この記事を監修した人

耐震建築家 田中 真一

耐震建築家 田中 真一

さくら構造株式会社 代表取締役社長

一級建築士、構造設計一級建築士

さくら構造は、2025年現在、社員数150名、売上高20億円を超える規模を有し、非木造建築においては構造設計棟数で全国トップクラスを誇る高耐震設計グループである。独自の高耐震基準「TSUYOKU」を開発し、地震に強い暮らしを実現するとともに、日本の構造設計を世界に誇れる仕事へと発展させるべく、日々研究に取り組んでいる。

関連記事

最近の記事
  1. なぜ建築業界はすぐ建て替えを勧めるのか|壊す前に「再生」という選択肢を

  2. マンションは建て替えで売却すべき?決議前・決議後のタイミングと注意点

  3. 大規模修繕とは?マンション管理組合が知っておきたい工事内容・進め方・周期の目安を解説

耐震診断・補強設計・リノベーションのお問い合わせ
耐震の事例紹介
TOP